2021年

1月

15日

★ 濵田 研吾 (著)「俳優と戦争と活字と」 (ちくま文庫)

第二次大戦を体験した昭和の俳優達。

 

彼等が体験した戦争を直接インタビューしたのではなく、俳優の自伝やエッセー、対談や追悼本、過去のインタビュー記事や映画・演劇等のパンフレットの寄稿文等々、膨大な活字の中から戦争にまつわるエピソードを丹念に拾い集めまとめた一冊。

 

有名どこの戦争日記(※1)は何点か読みましたが、同本は俳優だけに絞った戦争体験である点がとてもユニーク。

 

若い方には知らない俳優が一杯出てくると思うけど、当時の俳優それぞれの体験談はとても面白く、戦争とはどういうものかを知る上でも貴重な資料だと思います。

 

一口に戦争体験と言ってもいろいろありますよね。

赤紙・徴兵、玉音放送、終戦日の体験、中国・朝鮮・南方に等での戦闘体験、疎開、戦時下の映画ロケ、慰問団・移動演劇、戦時下の恋愛体験、広島・長崎の原爆体験、原爆語り継ぎ体験、満州引き上げ体験、シベリア抑留体験、特攻隊体験・・・・・、あの時代を生きた方々の体験は生存者の数だけあると思います。

 

同本は、映画・舞台・テレビで活躍したスターや名優達の華やかな姿の裏に隠された戦争体験。

 

著者は「俳優たちが語った戦争体験やメッセージを一冊にまとめることにより、見えてくるもの、聞こえてくる声があるのではないか。戦争を知らない世代への、これも1つのアプローチの仕方ではないか」と。

 

終戦時20歳だった人が今では96歳、十歳だった人でも86歳の超高齢者。

戦争を体験した人や戦争体験を語ることが出来る人は、後どのくらいいるのでしょうか。

 

戦争の悲惨さ等を後世に伝えるためにも同本は若い方に読んで欲しい本だと思います。

 

(※1)伊藤整「太平洋戦争日記」、大佛次郎「終戦日記」、

高見順「敗戦日記」、徳川夢声「夢声戦争日記」、

山田風太郎「戦中派不戦日記」・「戦中派虫けら日記」、

「古川ロッパ 昭和日記」

山田風太郎 『同日同刻 太平洋戦争開戦の一日と終戦の十五日』

その他、池部良、西村京太郎、水木しげる等

 

●濵田 研吾 ()「俳優と戦争と活字と」

出版社 : 筑摩書房/ちくま文庫

定 価  : 1100円+税

 

 

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2020年

11月

24日

★高田郁著「みをつくし料理帖」読了

久しぶりに心がホンワカと優しさに包まれる小説。

 

今評判になっている高田郁著「みをつくし料理帖」全10巻を読み終えました。

このような心優しい時代小説もあるのですね。

読んでよかった。

 

と言うのも、少しへそ曲がりな性格でね・・・、ベストセラーは読まない主義なんですが・・・。

閉店後、深夜のTVドラマ「みをつくし料理帖」を1回見たのがきっかけ。

10巻大人買いし、一気読み。

面白かったな~。

 

江戸時代の文化や武家・庶民の食べ物、料理へ真摯に向き合う料理人の姿等、「つる家」を取り巻く商人や武士等の人間模様・人情等が生き生きと描かれています。

 

江戸のそば処「つる家」を中心に店主・種市に助けられ「つる屋」の料理人となる澪とその幼馴染・野江が、周りの人々に助けられながらも艱難辛苦を乗り越え成長していく姿に結構感動します。

 

年のせいかもしれませんが、けっこう熱いものが込み上げてくる泣ける小説です。

お薦め本ですよ!

 

同小説を角川春樹が映画化しているようです・・・。

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2020年

4月

08日

★ 池波正太郎 「その男」 読了

久々の池波正太郎作品。

やはり面白いな~。

時代も僕の大好きな時代。

 

激動の時代に翻弄されることなく、幕末・明治・大正、昭和を“真っすぐに生きぬいた”剣客 杉虎之助の生涯を描いた時代小説。

 

この小説はフィクションなんですが、虎之助からの聞語り的な描写もあり、あたかも杉虎之助が実在したかのような錯覚に陥ります。

 

この虎之助のキャラクターが、とても魅力的。

下級武士ではありますが、剣の達人であり、謙虚で野心も無くとても爽やかに描かれています。

 

そして、彼を取り巻く人物(登場人物)もとても豪勢。

西郷隆盛、大久保利通、勝海舟はもちろん、幕末の四大人斬り(※)の一人中村半次郎こと桐野利秋・・・・等々、幕末大スター揃い踏みの作品。

余談ですが、この小説に描かれているい中村半次郎・・・・、最高です!

 

「世の中が、いかに変わろうとも、人間の在り方に変わりはない」という池波正太郎のメッセージが、深く心に響く作品です。

 

幕末から明治にかけての小説が大好きな方は、絶対に好きになりますよ!

で、知らなかったのですが、この池波正太郎「その男」は2019年に脚本・鈴木聡 演出・ラサール石井で舞台化されたいるようです。

 

(※)幕末の四大人斬り:

田中新兵衛、河上彦斎、岡田以蔵、中村半次郎の4人を言います。

すべて小説になっています。

読むと面白いですよ!

 

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2019年

7月

08日

★「天声人語」でのコミック本紹介~山田参助(著)「あれよ星屑」

「天声人語」は毎日読んでいますが、コミック本をテーマにした記事は記憶にありません。

 

今年201961日付けの天声人語。

 

今年の手塚治虫文化賞(新生賞)を受賞した山田参助(著)「あれよ星屑」が紹介。

 

「中国大陸で死線をくぐり抜けた兵士2人が、東京の闇市で再会する。天地が入れ替わったかのような世間の急変に戸惑う元軍曹と一等兵。焼け跡の空気感を濃く伝える」と記載。

 

“焼け跡闇市”と聞いたら野坂が大好きな小生としては、読むしかないですよね!

 

急いで有隣堂にTEL

しかし売り切れ!

そこで、アマゾンで調べてみたが全て売り切れ状態。

 

予約して全7巻が手元に来たのが約2週間後でした。

 

毎晩、就寝前に読む。

面白い。

 

作者の山田参助氏は、1972年生まれ。

当然、戦争を知らない世代ですが、「幼少期から松谷みよ子などの児童文学を通じて戦中戦後の様子に興味を持ち、その後、同時代を描いた映画や、野坂昭如や田中小実昌らの小説で戦後のイメージを膨らませていった」そうです。

 

「戦争を生き延びてしまった男」の元に豪放磊落な軍隊時代の部下が訪れるところから始まる。

 

加害者でもあり被害者でもある男二人の視点から描かれる世界~敗戦直後の焼け野原となった東京で暮らす慰安婦、パンパンガール、戦争で家族と引き離された浮浪児、命からがら日本へ戻った引揚者、出撃前に敗戦を迎えた元特攻隊・・・・、戦争に翻弄されながらも明るく、時に虚しく、それでも人は生きているという現実が描かれています。

 

Hな描写(とても明るく描いています!)も多いけど、“戦争を生き延びてしまった男の人生に対するケジメ”を真面目に描いた戦争作品であり、中沢啓治の「はだしのゲン」や水木しげるの「総員玉砕せよ!」に匹敵するコミック本だと思います。

 

お薦めコミック本です。

 

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2019年

3月

18日

★ 石田 衣良(著)「不死鳥少年=アンディ・タケシの東京大空襲」

本の帯に「いま読まれるべき3.10東京大空襲の物語~父の国の大空襲から母を守り、炎の夜を生き延びろ!」と。

 

戦後の1960年生まれの作家が著した「東京大空襲」の小説。

 

「東京大空襲」を身をもって体験した方々は、最低80歳前後の方々だと思います。

 

当然、作者は「東京大空襲」どころか「戦争を知らない子供たち」。

 

終戦前後の日本の状況をテーマにした小説は、大好きなジャンルの1つなので結構読んでいるつもりでしたが、この小説の主人公の立場のような少年は珍しい。

 

主人公は、アメリカ名をアルバート(アンディ)モリソンといい、アメリカ人の父と日本人の母を持つ時田武という少年。

 

文中によると、当時彼のような日系人少年は2万人位いたそうです。

当時の日本の状況を考えると、とても苦しい(いじめの対象)立場にいる少年ですよね。

 

むずかしい立場にいる少年の戦争体験を戦後生まれの作家が書いた本。

思わず購入。

東京都は、1944年(昭和19年)1124日以降、106回の空襲を受けた。

 

特に1945310日、413日、415日、524日未明、525-26日の5回は、大規模空襲だったそうです。

 

その中でも「東京大空襲」と言った場合、特に一番甚大な被害を出したのが小説に書かれている3月10日の夜間空襲(下町空襲)。

 

3月10日未明、米軍によって投下された焼夷弾と当夜の強い季節風(空っ風)により、東京市街地の東半部、実に東京35区の3分の1以上の面積にあたる約41平方キロメートルが焦土となり、10万人以上の方々が亡くなったそうです。

 

作者の母は都立第七高女(現・小松川高校)に通っている時に東京大空襲にあったそうですが、母から「その夜」のことを聞いたのは高校生の時に一度だけとか。

 

それでも作者は、「太平洋戦争」「東京大空襲」を風化させないように「愚かな戦争」を忘れないように40歳の時に「東京大空襲」を書いておきたいと思うようになってそうです。

 

「あとがき」にも「願わくば、この作品が主人公のと同じ14歳の少年少女に読まれますように。心に焼き印を押されたように、東京大空襲を忘れませんように。」と書いているよう現在の少年少女に読んでいただきたくて同書を著したとか。

 

気持は十分に分かるのですが・・・・、でも、でも・・・・、14歳前後の子供たちに読ませるには、とても面白く良い本だと思うのですが・・・・、残念なことに最後でコケてしまいました。

 

もったいないな~・・・・。

 

同書は、3月7日から4日間の出来事を書いています。

 

戦時下の下町の日常生活、学生の勤労奉仕、配給制による慢性的な物資不足・食糧不足、学童疎開、戦時下のファッション、憲兵の怖さ、学徒動員、鬼畜米英、B29、焼夷弾や310日の大空襲等々、現在の若い人たちが理解できるようにとてもうまく文中で説明しています。

 

しかし、何故最後の最後に主人公を3回も生き返らせてしまったのだろうか?

 

前述のように作者は、「愚かな戦争を風化させないように~願わくば、この作品が主人公のと同じ14歳の少年少女に読まれますように。心に焼き印を押されたように、東京大空襲を忘れませんように。」と書いているのに・・・・・・。

 

人の命は、ゲームではないんです。

人の命はリセットできないのです。

一度失った命は、元には戻れません。

 

しかし、同書では数回生き返ってしまうというSF的な仕掛けを入れているようですが、必要無いのでは・・・。

 

折角「東京大空襲」の中で生きた、当時2万人ぐらいしかいなかった珍しい日系人少年の戦時下の生き方・リアリティが失せた小説となってしまいました。

 

これを考えると、野坂昭如の「火垂るの墓」は素晴らしい小説ですね。

 

でも、単なる戦争小説として読めば面白いで、お勧めです。

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2018年

10月

29日

★所有アナロイグレコード紹介~Journey

時間がかかりましたが、「アナロイグレコード紹介~Journey」があがりました。

 

「所有アナログ・レコード紹介」のJourneyを覗いてみてください。

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2018年

10月

22日

★「グレンモーレンジ オリジナル(10年)」キャンペーン

MHDモエ ヘネシーディアジオ㈱の協力により、「グレンモーレンジ オリジナル(10年)」のキャンペーンを実施します。

 

「グレンモーレンジ オリジナル(10年)」は、通常 シングル1,000円 ですが、キャンペーン期間中は850円とお得なお値段になります。

 

 

通常 シングル1,000円 ⇒ 850

 

 

 

 

「グレンモーレンジ」とは、ゲール語で「静寂の峡谷」の意味を持つ北ハイ

ランド産のシングルモルト。

 

グレンモーレンジ蒸留所の創業は、1843年で元々ビール工場(創業1738年)だった場所に蒸留所を設立。

 

2007年以降、最高のワインとスピリッツを称える国際的なコンクールIWSCゴールドメダル最多受賞のシングルモルトウイスキー。

 

著名なウイスキー評論家であるジム・マーレイは、毎年ウイスキーバイブルで94点を連発。

「香り・味わい等、とても完成度が高くシングルモルトウイスキー界でトップクラス」と明言。

 

軽やかで甘いオレンジの様な香り。

口に含むと柑橘系の香りが口の中に広がり、後に麦芽のクリアーな甘みが。

フィニッシュは、スムースで上品な甘さと共にゆったりと続きます。

 

加水するとスムースな印象がさらに強くなり、アルコール感を感じずスッキリと頂けます。

ハイボールにすると麦芽の香り豊かでとても飲みやすく仕上がります。

 

 

 

発売以来、柑橘系とバニラの華やかなアロマ、その魅惑に満ちた繊細さと複雑な味わいは世界のモルト愛飲家だけでなく多くの人々を魅了し続けています。

 

女性にも大人気の「グレンモーレンジ オリジナル(10年)」をこの期間に是非ご賞味ください。

 

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2018年

10月

22日

★ワンランク上のバーボン~「フォア・ローゼス プラチナ」入荷!

当店にも大勢のバーボン党がご来店くださいます。

 

お気に入りのバーボンを飲みながら音楽や会話を楽しんでいらっしゃいます。

 

当店には定番バーボンの他に「ワンランク上のバーボン」として、

ジャックダニエル・シングルバレル、

ワイルドターキー13年、

ブッカーズ、

ブラントン・ホワイトラベル、

バッファロー・トレース、

エバン・ウイリアムズ・シングルバレル等々が置いてあります。

 

この度、「もうワンランク上のバーボン」に新しく「フォア・ローゼス プラチナ」が仲間入りしました。

 

フォア・ローゼス プラチナ」

 

このプラチナは、ケンタッキー州200周年を記念して1992年に日本限定で発売されたフォア・ローゼスの高級品。

 

原料・酵母・技にこだわり、香りや個性の異なる10種の原酒をマスターディスティラーの確かな経験と磨かれた感覚で絶妙にブレンド。

 

時間をかけ、熟成させた原酒を贅沢に使って生まれたのが「フォア・ローゼス プラチナ」。

 

複雑に絡み合う風味、豊かな熟成香、落ち着きのある深い味わい、きめ細やかなクリーミーなタッチ、そしてその長い余韻が絶品の長期熟成バーボン。

 

まろやかな口当たり。

ほんのりとした甘み。

熟成感と柔らかな口あたりを持つフォア・ローゼズのプレミアム品。

 

美味いです!

 

是非一度、ご賞味ください。

 

「フォア・ローゼス プラチナ」:シングル 1,500円

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2018年

10月

08日

★ 伊東潤 著「ライトマイファイア」読了

伊東潤さんがご来店の時に頂戴しましたサイン本。

 

Doorsの「Light My Fire」を聞きながら読みました。

 

ハッハッ~、冗談です。

 

この本、とても面白いですよ。

 

京急八丁畷駅近くの簡易宿泊所の放火事件(2015年に実際におこった火災)を追う寺島刑事が入手した「1970」「HJ」と記載されたノートから日本中を震撼させた「よど号」(作中では、「さど号」)ハイジャック事件の犯人の中に公安がいた、という大胆な仮説に基づいた意欲あふれる力作。

 

時代背景が僕らの年代にぴったり。

 

とても身近な事件・事柄が頻繁に出てきます。

 

東大闘争、70年安保闘争、早大闘争、ベ平連及び小田実・鶴見俊輔・開高健、新宿西口フォークゲリラ、赤軍派、京浜安保共闘、東アジア反日武装戦線「大地の牙」、三井物産爆破事件、よど号事件・・・・・。

 

読みながら学生時代のことが脳裏に浮かびとても懐かしくなりました。

 

あの頃はいろいろなことがありましたね。

 

毎日がドラマでした。

 

ストーリーもテンポ良く展開。

 

ヒロインへの恋慕・嫉妬、革命に燃える若者たちの熱気、自分自身の矛盾する立場・懊悩……。

 

当時の学生運動の様子、ハイジャック事件の詳細、北朝鮮での洗脳教育等々、目まぐるしく変わる状況とスリリングな展開。

 

伊東さん曰く「この作品は、現代編の「刑事マルティン・ベック・シリーズ」的な地道な捜査パートと、過去編の「24」的ジェットコースター展開をサンドイッチ構造にし、ダッシュとクールダウンを繰り返すことで、読者に体験型アトラクションのような快感を楽しんでもらうことを目指したまさにハリウッド映画の手法」。

 

読んでいて、熱いものが込み上げてきます。

しかし、あの時代は本当に熱い時代でしたよね。

現在では考えられないほど、あの時代は“熱い”。

 

伊東さんも「当時の社会の空気や若者たちの情熱を今の時代を生きる人々に伝えたい。身近にまだ生存者がいるうちに学生運動を描くことによって、彼らの情熱に触発されて、今の若い人たちが自分の生き方について、真剣に考えるきっかけになってくれれば幸いです」と。

 

Rockを聞きながらこの本を読めば、君も熱く生きていけるかも・・・ネッ!

 

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2018年

8月

06日

★ 星松岡圭祐「八月十五日に吹く風」読了

本のタイトルを見ればどのようなジャンルの小説か分かりますよね。

 

そう、「8月15日」は、終戦(敗戦)記念日ですものね。

 

戦争に関する小説は僕の好きなジャンルの一つですが、これまで読んだ戦争物とは違います。

 

戦争物と言えば、特攻隊や人間魚雷、原爆、不条理な精神論と軍幹部に見捨てられた部隊の自決・玉砕、南方系の敗戦~逃亡~食糧危機~餓死・病死・・・・、不条理にして残酷,悲惨,狂気,絶望,阿鼻叫喚の世界が繰り広げられる小説が多いですよね。

 

しかし、同本は違うんです。

 

キスカ島に残された5千人の日本兵を自決や玉砕という悲惨な形ではなく、「人命第一」と考え全員救助するという史実を小説化したものなのです。

 

調べたところ、この「全員救出」という作戦はとても有名な作戦で、「奇跡の作戦」といわれた『キスカ島撤退作戦』とのこと。

この作戦は、阿川弘之や有近六次などが小説にしている他、1965年に三船敏郎、山村聡、児玉清、志村喬、西村晃等が出演した映画『太平洋奇跡の作戦 キスカ』や1971年には太平洋戦争を題材にしたテレビアニメ『アニメンタリー 決断』の第16話「キスカ島撤退」などがあるそうです。

 

知らなかったな~・・・・。

 

軍の幹部に「人命第一」という考えを持ち、北の最果のキスカ島に残された軍人五千人を救出すべき知力・軍力を結集して決行した日本軍将兵。

 

日本人の英知を身で知った米軍諜報員。

 

不可能と思われた大規模撤退作戦を描いた感動の実話小説。

 

戦時中にこんな素晴らしい救出劇があったことを知って、8月15日を迎えます。

余談:

小説の中で「日本人の英知を身で知った米軍諜報員」として記載されている「ロナルド・リーン」は、実は「ドナルド・キーン先生」なんです。

 

ドナルド・キーン先生は、コロンビア大学名誉教授。

 

日本文化を欧米へ紹介して数多くの業績があり数多くの大学や研究施設から様々な受賞経歴を持つ。

 

称号は東京都北区名誉区民、新潟県柏崎市名誉市民、ケンブリッジ大学、東北大学、杏林大学ほかから名誉博士。

 

賞歴には全米文芸評論家賞受賞など。

 

勲等は勲二等。

 

2008年に文化勲章受章。

 

また、日本ペンクラブの名誉会員であり、20121126日の日本ペンクラブ創立記念懇談会では演説を行っています。

 

主な受賞歴:

菊池寛賞(1962年)、山片蟠桃賞(1983年)、読売文学賞(1985年)、日本文学大賞(1985年)、福岡アジア文化賞芸術・文化賞(1991年)、勲二等旭日重光章(1993年)、朝日賞(1998年)、毎日出版文化賞(2002年)、文化勲章(2008年)

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2018年

5月

07日

★ 門井慶喜 著「新選組颯爽録」読了

もう、中毒ですよね。

 

本屋さんで「新撰組」というタイトルを見ると手に取ってしまう。

 

これまで、新撰組及び関連本を何冊読んだだろうか。

 

司馬遼太郎の「新選組血風録」、「燃えよ剣」。

池波正太郎の「幕末新撰組」、「近藤勇白書」。

 子母澤寛の新選組三部作/「新選組始末記」「新選組遺聞」、「新選組物語」。

 浅田次郎の「壬生義士伝」、「一刀斎夢録」。

つかこうへいの「幕末純情伝 龍馬を斬った女」。

大佛次郎の「鞍馬天狗」等々・・・。

 

どの本を読んでも面白い。

 

しかし、「新選組」は歴史の教科書にはまず登場しないけど、何故こんなにも人を引き付けるんだろうかね。

 

そう言えば、坂本龍馬の名前も歴史の教科書から消えるとか消えないとか話題になっていますよね。

坂本龍馬が教科書から消えることになったら、新撰組なんか益々教科書に関係なくなるね。

 

でも、新撰組は本当に魅力ある集団なんです。

 

「新選組」の魅力を簡単に言うと、田舎剣術に励んでいた農民の子が、時代の混乱に乗じて成り上がり、倒れゆく幕府のために戦い続け、節義を守り抜いて散っていったという悲壮美。

 

小説や映画の影響もあるけど、個人個人がとても魅力ある人物なんですよね。

近藤勇、土方歳三、沖田総司、斎藤一、芹沢鴨、山南敬助、伊東甲子太郎、永倉新八、武田観柳斎、藤堂平助、鈴木三樹三郎、原田左之助・・・・・等々。

どの人物も面白い。

 

今回読んだ門井慶喜「新選組颯爽録」は、司馬遼太郎の「新選組血風録」を意識しているかもね。

 

近藤勇,土方歳三,沖田総司といった超有名どころの隊士たちの話が3編の他に馬術師範兼勘定方の安富才助,密偵の村山謙吉,文吏の尾形俊太郎といった脚光が当たらない裏方の隊士たちの話が3編、計6編の隊士が描かれています。

 

新撰組に関して近年判明した新史実を踏まえ、隊士達の生きざまを丁寧に描いており、これまでの新撰組とは一味違う新選組を知ることができました。

 

土方歳三の剣術は今一だったが、人を自由に操る事が出来る懐が深い人間として描かれていますし、安富才助、村山謙吉などあまりメジャーでない人物も知ることが出来、とても面白く読めました。

 

新撰組に興味のある方は、是非ご一読を。

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2018年

4月

01日

★大庭萱朗(編)「田中小実昌ベスト・エッセイ」読了

 若い頃、新宿ゴールデン街で何回かお見かけしたことがある田中小実昌氏のイメージと言えば、TVでハチャメチャなコメントをする酔っぱらいの直木賞作家。

 

でも、このエッセイを読んで初めて田中小実昌氏の人物像を理解することができました。

 

氏は、19歳(1944年)で出征し山口県の連隊に入営。

 

中国で粤漢線鉄道警備の部隊に編入。

 

中国での苦しい行軍の中でマラリア、コレラに罹り、敗戦直前にアメーバ赤痢の疑いで野戦病院に移送となり終戦。

 

1946年に呉市に戻り旧制福岡高校を繰上げ卒業し同年無試験で東京大学文学部哲学科に入学。

 

大学在学中からストリップ劇場での演出助手、進駐軍用将校クラブでのバーテンダー、啖呵売、易者などの職を渡り歩き1952年に東京大学を除籍。

 

1954年より米軍の医学研究所で化学実験の仕事をし、その傍ら翻訳家として多くのハードボイルド作品を翻訳。

 

その後、アルバイト時代の経験を活かし本格的な作家活動に。

1979年、「ミミのこと」「浪曲師朝日丸の話」の2作品で直木賞を受賞。

同年、戦争体験や父の姿に題材を取った短編集「ポロポロ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

その後は、往年の深夜番組「11PM」をはじめとして、テレビドラマ、映画、CMといった様々な場面で活躍。

 

新宿ゴールデン街(東京都)の常連で、毎日ゴールデン街で10軒は飲み歩いたらしい。

僕が氏を何回かゴールデン街でお見かけしたのはこの頃(1980年初頃)。

いつも酔っているのでしょうが、飄々とした感じが印象的でした。

 

今回読了した大庭萱朗(編)「田中小実昌ベスト・エッセイ」には、氏の戦争体験(「勤労奉仕から動員へ」、「父と特高」、「昭和19年」等)、敗戦後進駐軍でのアルバイト他(「やくざアルバイト」、「横田基地のバンブダンプ」、「不動産屋、そして医学研究所」他)、作家活動に入ってからの新宿ゴールデン街での話(「路地に潜む陽気な人々」等)などが収録されています。

 

クソ真面目な牧師の父を持つ少年の気持ち、戦争体験、敗戦後の進駐軍のこと朝鮮戦争時の日本の状況等々、とても面白いエッセイが満載ですよ。

 

お勧め本です。

 

●大庭萱朗(編)「田中小実昌ベスト・エッセイ」

出版社:筑摩書房(文庫本)

値 段:950円+消費税

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2018年

1月

08日

★野地秩嘉 (著)「ビートルズを呼んだ男」(小学館文庫)

「ビートルズは、音楽の教科書で習った」と聞いた時は本当に驚きました。

 

だって、僕等団塊の世代では「ビートルズは不良の音楽」だったんですから。

 

中学時代、自慢しようとビートルズのレコードを学校に持って行ったら、先生に没収された(後で返してくれましたが・・・)時代なんですよ。

 

同本は、「ビートルズ・ロック・エレキは不良の音楽」と言われた時代にビートルズを日本に呼んだプロモーターの話。

 

そのプロモーターの名は、永島達司。

 

ポール・マッカートニーが「彼みたいな男が本当の日本人だ」と評価した伝説のプロモーターなのです。

 

永島達司は終戦後、米軍回りのバンドのマネージメントの仕事を始め、1953年に「新々プロダクション」を設立。

1957年に社名を「協同企画」に変更。

この協同企画が、現在では皆さんがご存知の「キョードー東京」となります。

 

永島達司は、戦後の海外アーチスト日本公演を手掛けた第一人者であり、ナット・キング・コール、ベンチャーズ、ルイ・アームストロング、ベニー・グッドマン、シュープリームズ、スティービー・ワンダー、レッド・ツェッペリン、アンディ・ウィリアムス、サイモンとガーファンクルをはじめ、ビートルズを日本に呼んだ伝説のプロモーターなのです。

同本の前半に記述されている戦後の芸能界での興行師の世界や1950年代の日本の音楽状況なんかもとても面白い。

 

特に団塊の世代にとっては、自分たちが歩んできた時代なので読んでると当時に帰ったような気分になります。

 

50年代、日本はジャズが大流行。

小さいながら父や兄がジャズを聴いていたのを覚えています。

 

そして、1966年ビートルズ日本公演~警備員3,000人、テレビ視聴率56.5%と社会現象になったビートルズ来日。

 

思い出すな~・・・、僕が高校1年生の時。

チケットは買うことができず、すべて抽選。

読売新聞への応募、スポンサー企業の商品購入後の応募、ファンクラブ優先の入手等々。

ファンクラブ以外いろいろと手を尽くしましたが入手できず、悲しかったな~。

同本には当時当選した人たちのコメントもあり、「そうだったのか~!」と一人納得。

でもね、最初に書いたようにエレキギターは「不良の音楽」。

 

若い方には理解できないかもしれないけど、全国の教育委員会や自治体が「エレキ追放」を叫んでいた時代なんです。

 

同本にもベンチャーズ、アストロノウツ、ビーチボーイズを呼んだ時には、PTA・日教組・教育委員会が連動し、会場前で「ロック反対、エレキ追放」のビラを撒いたエピソードも紹介しています。

 

ビートルズ日本公演の際には、公演主催の読売新聞社主の正力松太郎が「ベートルズとか言う連中に武道館は使わせん!」、政治評論家・衆議院議員の細川隆元は「乞食芸人に武道館を使用させるな!」などと言っていました。

 

そんな状況の中、エレキやロックを支えたのは当時の若者―戦後のベビーブームで生まれ思春期にロックをラジオで聞いて育った世代だったんですよ!

 

ビートルズの日本公演は、まさに「ロックが日本に上陸した瞬間」なんです。

当選した当時少年少女だったファンへのインタビューやビートルズの来日公演に携わった様々な人々(警察・消防・事務所等)の証言も記載されており、とても面白い。

 

ビートルズが滞在した4日間。

ビートルズは73日に離日し日本のビートルズ狂騒曲は幕を閉じます。

 

永島達司がこの日本にいなければこの「ビートルズ来日」は夢物語に終わっていたのかもしれません。

 

永島はその後も、キョードー東京でエルトン・ジョンやマイケル・ジャクソンなどのビッグネームのプロモートに関わり続け、1999年に肺炎で亡くなります。

 

余談ですが、ポールの最初の妻・リンダの葬儀に招待された日本人は、永島達司のみだったそうです。

その永島の死去に際し、ポールも永島の妻に手紙を送っているそうです。

 

日本の音楽の流れ、ビートルズ・ロックに対する当時の日本の対応等々、とても面白く書かれています。

 

ご興味ある方は、是非ご一読を。

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2018年

1月

07日

★奥山景布子 (著)「寄席品川清州亭」 (集英社文庫)

落語が大好きで江戸時代の品川宿に興味があったもんだから、タイトルだけで思わず購入。

 

作家の「奥山 景布子」は初めてですが、とても面白い人情たっぷりな時代小説です。

 

ペリー来航直後の幕末の品川宿。

腕はいいが、喧嘩早い大工の棟梁・秀八。

 

秀八は落語が大好きで、好きが高じ寄席「清州亭」を建ててしまう。

 

そんな秀八を陰で助けるのが、駆け落ちして一緒になり団子屋を切り盛りする女房・おえい。

 

秀八、おえい、寄席「清州亭」をめぐって繰り広げられる笑いあり涙あり、人情たっぷりの時代小説。

 

人生も半ばを過ぎ、本業に余裕ができ副業として寄席の経営を始めた秀八、子供ができないことに悩むおえい、どん底まで落ちてそこから這い上がろうとあがいている男、生活に不安を抱えているシングルマザー等々、現代人と変わらない悩みを抱えている登場人物にも共感できます。

 

また、最後のページに「寄席まわりの言葉たち」という説明もわかりやすく記述されているので便利ですよ。

読んでとても面白いので、落語好きの方は是非ご一読を。

 

余談ですが、品川宿をご存知ですか?

東海道第一の宿場で江戸へ入る人たちが身なりを整えるためにあえて一泊する重要な宿場なんです。

 

でも、それだけではありません。

江戸の四宿というのがあってね・・・・・。

四宿というのは、千住宿、板橋宿、内藤新宿、品川宿のこと。

 

この四宿は、仲居であると同時に色も売る飯盛女を抱えることが許されていました。

高額で面倒な手続きも多い「吉原」より気楽に遊べるとして江戸の多くの男達が訪れた宿場です。

 

特に品川は「北の吉原、南の品川」と称され、一大歓楽地だったそうです。

江戸っ子が、日帰りか一泊程度で息抜きができる観光地であり、悪所とごく普通の町人が暮らす商家や長屋が混在していたそうです。

 

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2017年

12月

18日

★西村京太郎 著「十五歳の戦争 陸軍幼年学校 最後の生徒」

 西村京太郎は知ってますよね。

 

そう、トラベルミステリーの第一人者で、多くの作品が映画化・TVドラマ化されています。

 

でも、本日ご紹介する本には、十津川警部は出てきません。

 

西村京太郎が、初めて著す15歳当時の戦争体験と戦後の生き様および日本人と戦争について語った戦中派の貴重な証言です。

 

十代半ばの少年がどう戦争を捉えていたのか、そして「日本人に戦争は向かない」ことを戦時中の事例を挙げながら訴えています。

 

難しい単語を使用せず、とても読みやすい本。

 

戦争体験も個人個人違うと思うので、戦争を体験された方の著書をもっともっと読みたいと思っています。

 

皆さんも是非読んでください。

 

●西村京太郎著「十五歳の戦争 陸軍幼年学校「最後の生徒」

出版社: 集英社新書

値 段:821円

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2017年

12月

11日

★ 松岡圭祐 著 「黄砂の籠城」読了

 実に面白い久々の血沸き肉躍る小説。

 

松岡圭祐の作品は初めて読みましたが、上手いな~。

 

徹底的にエンタテイメントに徹しており、場面場面がまるで映画を見ているような錯覚に陥る、本当に面白い小説です。

 

テーマは、「義和団の乱」。

 

1900年、北京で「扶清滅洋(清をたすけ、外国勢を滅ぼす)」の旗を掲げ、外国人排斥を叫ぶ武装集団・義和団が暴徒化。

 

教会を焼き討ちし外国公使館区域を包囲。

柴五郎
柴五郎

20万人以上の義和団の大軍を眼前にして、北京城に立て籠もったのはわずか4000人弱。

 

4000とはいえど、そのほとんどが民間人で兵と呼べる数は500にも満たない。

 

この絶望的な少数の籠城軍、足並み揃わぬ列強11ヵ国を先導し約2ヶ月間にわたり北京城を守り抜いたのが新任の駐在武官・柴五郎率いる日本。

 

当時の北京城内で柴五郎とともに戦ったイギリス公使シンプソン氏は日記で「北京籠城の功績の半ばは、とくに勇敢な日本兵に帰すべきものである」と明記しています。

 

この「義和団の乱」は、「日本人こそ最高の勇気と不屈の闘志、類稀なる知性と行動力を示した、素晴らしき英雄たちである」と日本人を初めて世界が認めた壮絶な闘いなんです。


この「義和団の乱」をテーマにした他の作品としては、1963年封切のアメリカ映画「北京の55日」というのがあります。

主演は、「ベンハー」、「猿の惑星」などで有名なチャールトン・ヘストン。

 

アメリカ映画なので、当然アメリカが主役ですが・・・・。

でも、この映画も本当に面白いですよ!

DVDで出ていますので見る価値はありますよ。

 

主題歌もとても良いんです。

歌っているのは、アメリカのフォーク・グループ「ブラザース・フォー」。

「北京の55日」は、日本でも大ヒットしました。

 

「血沸き肉躍る」本も映画も大好き!!

主人公の「柴五郎」は、明治維新に最後まで楯突いた会津藩武士の末裔。

 

彼は世界に高く評価されており、タイムズ誌は柴五郎を「軍人中の軍人、コロネル・シバ(柴中佐)」と誉め讃えて世界に報じています。

 

本屋さんで見た「ある明治人の記録―会津人柴五郎の遺書」 (中公新書)という本がとても気になっていてね、近い内に購入しようと思っていたら、今回の本で「柴五郎」を知ってしまった。

 

同本は、正月用に購入しないとネ・・・・・・。

 

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