★大庭萱朗(編)「田中小実昌ベスト・エッセイ」読了

 若い頃、新宿ゴールデン街で何回かお見かけしたことがある田中小実昌氏のイメージと言えば、TVでハチャメチャなコメントをする酔っぱらいの直木賞作家。

 

でも、このエッセイを読んで初めて田中小実昌氏の人物像を理解することができました。

 

氏は、19歳(1944年)で出征し山口県の連隊に入営。

 

中国で粤漢線鉄道警備の部隊に編入。

 

中国での苦しい行軍の中でマラリア、コレラに罹り、敗戦直前にアメーバ赤痢の疑いで野戦病院に移送となり終戦。

 

1946年に呉市に戻り旧制福岡高校を繰上げ卒業し同年無試験で東京大学文学部哲学科に入学。

 

大学在学中からストリップ劇場での演出助手、進駐軍用将校クラブでのバーテンダー、啖呵売、易者などの職を渡り歩き1952年に東京大学を除籍。

 

1954年より米軍の医学研究所で化学実験の仕事をし、その傍ら翻訳家として多くのハードボイルド作品を翻訳。

 

その後、アルバイト時代の経験を活かし本格的な作家活動に。

1979年、「ミミのこと」「浪曲師朝日丸の話」の2作品で直木賞を受賞。

同年、戦争体験や父の姿に題材を取った短編集「ポロポロ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

その後は、往年の深夜番組「11PM」をはじめとして、テレビドラマ、映画、CMといった様々な場面で活躍。

 

新宿ゴールデン街(東京都)の常連で、毎日ゴールデン街で10軒は飲み歩いたらしい。

僕が氏を何回かゴールデン街でお見かけしたのはこの頃(1980年初頃)。

いつも酔っているのでしょうが、飄々とした感じが印象的でした。

 

今回読了した大庭萱朗(編)「田中小実昌ベスト・エッセイ」には、氏の戦争体験(「勤労奉仕から動員へ」、「父と特高」、「昭和19年」等)、敗戦後進駐軍でのアルバイト他(「やくざアルバイト」、「横田基地のバンブダンプ」、「不動産屋、そして医学研究所」他)、作家活動に入ってからの新宿ゴールデン街での話(「路地に潜む陽気な人々」等)などが収録されています。

 

クソ真面目な牧師の父を持つ少年の気持ち、戦争体験、敗戦後の進駐軍のこと朝鮮戦争時の日本の状況等々、とても面白いエッセイが満載ですよ。

 

お勧め本です。

 

●大庭萱朗(編)「田中小実昌ベスト・エッセイ」

出版社:筑摩書房(文庫本)

値 段:950円+消費税

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