この作家は初めてですが、タイトルに惹かれて購入。
実に面白い本でした。
内容は、安楽庵策伝、露の五郎兵衛、鹿野武左衛門らと共に「落語の祖」であり、日本初のお笑い芸人として天下一を目指した米沢彦八の物語。
落語の起源話でもあり、落語好きにはたまらない内容です。
彦八は村一番の物真似や笑話が得意な人物で、将来は人を笑わして金を稼ぎたいと考えていたました。
しかし当時は、首にかけた台の上で人形芝居をする傀儡師(くぐつし)、穴の開いた籠を横にして飛び抜ける籠抜け、砂で絵や文字を描く砂文字、太平記や三国志を読む講釈師などの辻芸人はいたが、「人笑わして、銭もらう」という滑稽話が職業として確立されておらず笑話専門の芸人はいません。
そこで彦八には「笑いを大衆のものにしたい」と考え、芝居小屋や見世物小屋など多種多様な芸能が行われていた大坂の生国魂神社の境内で笑話の修行を重ねる。
役者の身振りや声色を真似る「仕方物真似」、滑稽話の「軽口噺」などが評判となり、天下一の笑話の名人と呼ばれるようになり、笑いを大衆のものとした。
最後は、幼馴染の少女への思いで・・・・、チョット・・・・ホロリ・・・・!
「江戸の座敷芸」と「大阪の舞台芸」、江戸と上方の”笑い”に対する差異が江戸初期から連綿と継続しているのも面白いですよ・・・・。
●木下 昌輝 (著) 「天下一の軽口男」
発売元:幻冬舎
値 段: 1700円+消費税
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