★ 「岬一郎の抵抗」  半村良 著

 

出版社: 集英社文庫 全3

 

何の変哲もない下町のアパートで暮らしている平凡なサラリーマン岬一郎。

 

岬一郎は、近所で起きる公害問題に関わるうちに不思議な能力を発揮し始め、善良な人々を助けることにその超能力を活用する。

 

助けられた近所のおっちゃん、おばちゃんたちは、岬一郎の能力に驚き、感謝し、隣人であることを誇りに思い、支持しサポートし始める。

 

しかし、岬一郎は自分が持っている超能力が社会に及ぼす影響を恐れ、自らを律し能力の行使を封印するが、国家権力は岬一郎の能力の強さに過剰反応し、次第に彼を排除する方向へ動いていく。

 

ジャーナリズムもまた、ネタに飛びつき、もてはやし、大騒ぎするが、やがて権力に迎合して、岬一郎を糾弾し始める。

 

岬一郎は、体内に育った強大な超能力を決して悪用することはせず、自分のために使うことも封じ、ひたすら他の人々のために尽くす。

 

この行為は、「神」以外の何物でも無く、大衆は当然この「神」に国の統治を委ねようとする。

 

そんな彼に脅威を抱くのが、国家や宗教団体であり、列強諸国でもある。

だって、彼がその能力をフルに使えば、国は根底から覆ってしまうからね。

 

脅威を抱いた国が、彼に下した決断とは・・・・・?

それを岬一郎はそれをどう受けるのか・・・・・・・?

岬一郎は、この運命を受け入れ、キリストと同じ運命を辿るのか・・・・・?!

 

超能力者・岬一郎を“救世主”と考えると、本文中にも書かれていますが、キリストの受難を現代に再現した小説で、一人の「神」の存在を通じて人間社会を描いた第9回日本SF大賞受賞作品です。

 

半村 良(はんむら りょう)略歴

 

1933年 東京生。都立両国高校卒業。

1962年 第2回SFコンテストに『収穫』で第3席入選。

1972年 第3回星雲賞(日本長編部門)を『石の血脈』で受賞。

1973年 第1回泉鏡花賞を『産霊山秘録』で受賞。

1975年 第72回直木賞を『雨やどり』で受賞。

1988年 第9回日本SF大賞を『岬一郎の抵抗』で受賞。

1993年 紫田錬三郎賞を『かかし長屋』で受賞。

200234日、肺炎のため死去。享年6

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